Doctor's Column 院長コラム

2020.07.10更新

他院で治療した根管治療のセカンドオピニオン、再治療希望の患者が当院において最近かなり多く来院されます。

症状としては
他院で根管治療期間中に発生した痛みがなかなか取れない、
治療中の部分に膿の出口ができて(腫れて)治らない、などです。

このような症例を再治療させて頂き、当院では

「歯科用CTとマイクロスコープを連動させた根管治療」
穿孔部を封鎖する「MTAセメント」

を効果的に活用することにより、
転院されてきた患者さんの8割ほどは治癒に導いております。

このような根管治療予後不良症例を数多く診させて頂いているなかで、いくつかのパターンがありますので、今回それらをまとめてみました。

1本当にごく基本的な根管清掃、拡大を行っていないので根尖病巣が治癒しない
2清掃器具が根管の中に入っていく道を作れていない(根管内の清掃ができていない)
3歯根が折れている
4また根管内の清掃はなされているが、根尖を刺激しすぎて、根の周囲の歯根膜に炎症を起こしてしまい、咬むと痛みが出るなど
5あと、咬合(噛み合わせ)の要因で、持続的に刺激が加わり痛みが取れにくい場合などもあります。
   また種類は違いますが、噛み合わせに関連するものとして、根分岐部病変というものがあります。(6に書きます) 

6歯周病が進行しており、根尖病巣単独ではなく、歯周病で骨の欠損が進行した部分と根尖病巣が繋がってしまっているような場合があります。
   根分岐部病変ですが、根尖病巣ではなくて歯周病の一症状として発現する場合や根分岐部に穿孔を来したり、あるいは根尖病巣が根分岐部まで拡大している場合など

   原因が多岐にわたります。

このように、いくつかの治癒しない原因があります。


詳細を解説しますと、

1はしっかりと丁寧に清掃拡大をすれば治癒していきますが、このように治らない原因は術者の技量や、その歯科医院で根管治療にしっかりと時間をかけていないのが主な  原因であると思われます。
2は根管が曲がっていたり(湾曲根管)、細かったり(狭窄)、根管清掃に使用する器具であるリーマー、ファイルなどが根管治療中に入らなくなり、道に沿って進んでいかない、その結果根尖付近に細菌起炎性物質が残存し、化膿が収まらない。あるいはもともとの根管ではないところにエンジンやリーマーなどで穴をあけてしまい(パーフォレーション)その部分が化膿してしまっている場合などがあります。  
→根管が開かない(道が作れない)場合はもとも詰めていた根管充填材を取り除いた後にマイクロスコープで根管を探索しながら道を掘り進めます。そそまま無理に掘り進めるとパーフォレーションをおこす危険性があるため、道が開かない場合はこの時点でCTを撮影して、どこまで掘り進めているかを確認します。このようにマイクロスコープは根管内、CTは根管内と外の位置関係を把握するように連動させて使用することによって、パーフォレーション(穿孔)させないようにして根管の道を作っていきます。
 湾曲根管などの場合は、細いファイルで根管の先端まで道を作った後の根管拡大操作をNi-Ti(ニッケル・チタン)ファイルで行うと、非常に作業効率が上がります。

3も、マイクロスコープとCTによって破折部分の確認を行います。根が折れている(歯根破折)、ヒビが入っている(クラック)場合は基本的にその歯を残すのは難しいです。

4は清掃拡大の技量の問題で、根管拡大作業はいくつかの原則があり、原則に則ったファイリング操作(基本的な根管清掃器具の操作)ができていないとよく起こりうること  です。

5は咬合のずれなどを確認し、ぐっと噛み合わせた後、負担が集中していないか、夜間の歯ぎしり、日中のくいしばりなどのいわゆるパラファンクションなどがないか確認 し、マウスピのース使用などで患歯への負担を軽減します。
6はいわゆるエンド・ペリオ病変といわれるもので、歯周病と根尖病変部分の病巣が繋がっているため、歯周病単独、根尖病巣単独といったものよりも状況はかなりシビア です。
このエンド・ペリオ病変はいくつかのパターンに分類され、そのパターンに従って治療を進めていくことになりますが、治療順序としては原則、根管治療が優先です。

   因みに、この中で出てきた「マイクロスコープ」、「MTA」、「Ni-Ti」ファイルは、近年における根管治療の3種の神器と言われています。


  そしてその他に、根管治療中に根管清掃拡大器具であるリーマーやファイルが根管内で折れてしまい、根管内異物として残ってしまう症例があります。
このような患者さんがセカンドオピニオンで当院を受診されるケースも多いです。
このような場合、前医から「根っこの中で器具が折れて残っています。折れた器具がすごく小さく、取り出すのが困難です。これが残っていると治らないので抜きましょう。」あるいは、折れた器具などは存在していない症例であっても、「こちらでは破折器具を取り出せないので、根管治療をご希望の場合は、他の医院で治療してもらってください」などと説明を受けられていることがあります。
 これは私の目からみると、手間がかかる根管治療を最初から行う意思が乏しく、早く抜いて、次の治療(インプラントなど)に移行しようという感じが見て取れます。こういう説明を行っている医院は、インプラントなどの高額診療を大々的に宣伝している場合が傾向として多いように感じます。
私はこれは非常に大きな問題として捉えており、敢えてここで警告を鳴らす意味で書かせて頂きます。

 あと、破折器具が根管内に残留しているようなケースでも取り出す必要がない場合もあります。破折器具が残っている歯根の先端に根尖病巣が存在するような場合は取り出す必要がありますが、このような場合もマイクロスコープと破折器具除去専用の超音波チップを駆使し、拡大視野で処置を行うことで破折器具を取り出すことが可能で す。

 これらの治療で治癒しない場合は、最終的な処置として、歯根端切除術などの外科的対応(手術的対応)を行います。
私も根管治療の技術が未熟であった頃は歯根端切除術を行う機械が多かったのですが、最近は根管治療のみで治癒することが多くなり、当院における歯根端切除の適応症例は、根尖病巣が大きく、経過が長くなっているようなケースに限られてきました。

 根管治療で根尖病変が治らない、歯根端切除術を行う外科的スキルを持ち合わせていないDr.は基本、臨床症状がない場合は経過観察、痛みや歯肉の腫れや膿の出口がふさがらないなどの症状がなくならない場合は患者にその歯の抜歯を宣告することになり、転院の機会を作ってしまうことになります。
 今回書かせて頂いた通り、根管治療をしっかり行っていくと、根尖病変は治っていく場合も多いのです。
根管治療の経過が良くない方は、今回の記事を是非、参考にしていただければと思います。

投稿者: まえだ歯科

2020.05.08更新

 

   新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が全国に一斉発令して3週間、現時点では宣言解除に足るだけの感染患者数の減少を認めないとして、先日約1か月の期間延長が政府からアナウンスされました。
感染者の増加による医療崩壊、自粛要請による経済の破綻などすぐには解決が図れない大きな問題が浮上しておりますが、未だ感染の長期化が予想され、感染の縮小と経済の両立が現時点での大きな課題となっています。今後、経済、社会活動の立て直しについての出口戦略に向けて政府は動き始めると思いますが、感染終息についての出口はまだ見えない様に感じます。
   歯科医院におきましては、医療機関として、口腔の健康を損なわないように診療を継続して行っていく役割(必要性)があり、当初から、政府より基本的に自粛要請などは出ておりません。その中で、厚生労働省から新型コロナウイルス院内感染対策についての指針が出され、各都道府県歯科医師会などを通じて各病院、歯科診療所に通達がなされました。
通達の内容としましては、簡単にお伝えしますと、スタンダードプリコーション(標準的感染予防措置:後述)に加え、飛沫感染、接触感染に留意して、患者数の制限を行いながら診療にあたること、特に歯科用切削器具、超音波機器による飛沫感染が大きな問題であり、その対策を取るよう通達がされました。(後述部分あり)

   その中で歯科診療行為によって、感染が起こりうるリスクは勿論ゼロではありません。
診療行為は数十分単位で、かなり近い距離で密接して診療を行う、いわゆる濃厚接触にあたり、また飛沫感染という歯科特有の感染の危険もあることから、普通に考えるとリスク(患者、医療従事者間双方において)としてはかなり高いと思われます。
   しかし幸いにして現状では診療行為によって患者が感染したという報告はニュースなど様々な媒体から得られる情報として、未だ耳には入ってはきておりません。
このような状況下では、基本的事項を尊守したうえで、一定期間毎に中間中間で我々が行っていることに対しても検証を行っていき、その状況に応じた対応をスピーディーに行っていくことが大切です。我々も常にアンテナを立てながら、対応にあたっております。
そして患者さんは勿論のこと、当院のスタッフ、私自身も新型コロナウイルスの感染から守っていかなければいけません。

<スタンダードプリコーション>
   そのようなリスクのある中で歯科診療行為によって目立った感染が起こっていない要因はどこにあるのでしょう?
先ず基本的に、歯科医院においてはスタンダードプリコーション(感染症の有無にかかわらず全ての患者を対象に、血液、体液、分泌物、損傷のある皮膚、粘膜は感染性病原体を含む可能性があるという原則に基づき、手指衛生や個人防護具の着用など感染リスクを減少させる予防策のこと=標準予防措置策)に基づき、患者および院内の感染対策は普段から十分に行っております。診療中のアルコールによる手指消毒、グローブ、マスクの着用、状況に応じたゴーグルの着用は基本です。
先ず、このスタンダードプリコーションが、感染のリスクをかなり減じていると考えます。
しかしそこから更に、今回の新型コロナウイルス感染の特徴を掴んだ対策が必要であるのです。前述の厚生労働省、歯科医師会より通達された通り、新型コロナウイルスの感染経路が「接触感染」と「飛沫感染」であることを考慮し、このような標準的院内感染予防を基に、当院における感染予防対策として追加したことを、ここからは書いていきたいと思います。

1<接触感染対策>
   患者来院時(診察券などを出してもらう前に)、お会計終了後にアルコール手指消毒を行ってもらっていること。→これは新型コロナウイルスが手に触ったものから感染が起こる、いわゆる接触感染が経路になっていることによります。
受付待合室の閲覧物、共用物の使用制限、トイレ、洗口コーナー、受付ドアなどの接触感染のリスクのある部分の定期的なアルコール消毒も実施しております。
これは院内医療従事者が使用する医療機器のスイッチ、電話など、使用頻度の高い共用物についても同様であります。
その他、基本的なことではありますが、器具などを収容している棚のノブなどを患者の口腔内を触った手でグローブ着用のまま開けたりしないことなど、スタッフにも今まで以上に徹底するよう周知しております。

2<飛沫感染対策>
   それから治療前に患者の体調のチェックを行った後、イソジンによる含嗽を行っていること。→これは歯科医院特有のリスクとしての、エアロゾル対策のためです。含嗽剤は、新型コロナウイルスを不活性化させる効果のあるものを選択しております。
エアロゾルとは、歯を削る機器である「タービン」や、歯石除去などに使用する「超音波」を使用した際に発生する「飛沫」のことで、この飛沫が空気中に浮遊し、感染のリスクが生じるといわれています。普段から行っていることでありますが、切削による飛沫を吸引する口腔内、口腔外バキュームを必ず使用しております。
またそれとは別に、エアロゾルに対し、「空間除菌」という概念で、次亜塩素酸水の噴霧器を設置し、対策を行っております。近々、オゾンによる空間除菌器を追加で設置する予定です。GW明けには術者はフェイスシールドも着用予定です。
3<3密の回避>
   そして患者が待合室で密集するような状況を避けるための予約の制限を行っております。当院は全室個室になっている(各部屋には窓があり、窓は開けて換気を徹底している)ため、患者さんが来院したら待合室が混まないように、空いている診療室で待っていただくよう工夫し、患者さん同士が待合で密集しないように工夫しております。
これは、解釈が難しい部分もありますが、当日に予約外において、緊急性の乏しい歯石の除去や小さい虫歯の治療を行うことなどはやはり現状は処置を控える必要があります。

この3点を追加し、しっかりと実行することにより、院内の歯科診療において患者⇔医療従事者間で感染が起こるリスクをかなり下げられると考えました。

   当院では歯科医師会からの通達、特別警戒区域で診療に従事している歯科医師からの情報、県内外の友人歯科医師からの情報、新聞、ニュース、ネットなど、幅広い情報を元に、よく検討した上で、このような追加の感染予防の実施を全国に緊急事態宣言が発令されると同時に開始しました。

4<院内クラスター発生予防対策>
  そしてもう一点は、医療従事者が外部から院内に感染を持ち込み、院内医療従事者の間でクラスターが発生するパターンがあります。実は歯科医院で感染が確認されているパターンはこれが殆どのようです。
この対策として院内医療従事者の体調管理の徹底、特にスタッフの休憩場所での3密の回避、Dr.、スタッフの制服の消毒、会計処理後のスタッフの手指アルコール消毒の徹底など、医療従事者間で接触感染、飛沫感染が起こりうる部分を、院長である私も含め、スタッフにもよく理解してもらい、徹底的に回避するように対策を強化しております。
*(1<接触感染>の内容も含む)

   緊急事態宣言が7都道府県に発令された当初は、歯科治療においても当該地域の歯科医師会などから、可及的に、緊急性の有する処置のみに限定して治療を行うことを考慮する旨の要請がでていたようですが、自粛期間が長期化してくると、治療を延期している部分に問題が出てきたり、なかなかそうはいかない状況もでてくるでしょう。先が見えないままの状態でいつまで治療を延期すればよいのか、そのように考えている歯科医師も少なからずいるはずです。
そのような経緯から、和歌山のように感染がある程度抑えられている地域では、尚更、治療の制限をつけることは得策ではないのではないかと感じていました。診療の範囲をどこまで制限するかについて、いろいろな情報や周囲の状況を確認し、最終的には和歌山県歯科医師会から緊急性の少ない治療の範囲について、最終的な判断は各個人の先生方の判断に任せるとの通達の旨を確認し、当院ではエアロゾル対策をしっかりととりながら、治療延期により状態の悪化が懸念されるような、虫歯、根管治療、歯周病治療、補綴治療は、現在継続している治療に関して継続して治療を行っていく方針としました。状態が安定しており、これから治療していこうとしているような治療においては、患者さんとお話しした上で、一旦延期しております。
  メンテナンスについては、高齢者の方は感染した場合の死亡率が高いハイリスクの部類に入るため、状況をみながらメンテナンスの期間を延長するように調整しております。但し、義歯を装着されている方は義歯の調整が必要になることも多いので、定期的に来院していただくケースも多いように思います。逆にインプラントのメンテナンスの方は状態が安定しておりますので、このような患者さんから、患者さんご自身でメンテナンス期間延期の連絡がはいることも多く、患者数の制限に繋がっております。
   インプラントなどの手術に関してはこの1か月は制限しておりましたが、5月下旬以降、感染状況をみながら、手術の予約を入れていきたいと考えております。その場合も、他の患者予約は入れずに、院内を貸し切り状態にして、手術を行っていくことを予定しております。

   GW中日、5/4に政府から緊急事態宣言の1か月の延長についての声明が発表されました。この声明では、感染拡大のための施策について、感染縮小について、現状一定の効果は出ているが、その中で経済への打撃が深刻であり、向こう1か月間をその立て直しのため準備期間に充て、宣言の緩和、解除に向けて対策を立てていく。そして継続して感染予防を行っていく、としています。

これは、感染終息にはまだ時間を要するが、緊急時事態宣言解除という一旦の収束を図ったのち、その後も感染予防は続いていくということです。新たな感染拡大を抑えつつ、社会活動、経済活動を立て直していく。このように、ステージは暫くの間、いわゆるwith corona (コロナと共存していく)という方向性で進んでいくでしょう。
政府からも接触感染、飛沫感染を考慮した、3密を避ける「新しい生活様式」についての提案がなされています。

このような状況下でやはり最も大切になってくるのが、
今日書かせていただいた、「患者および院内感染対策」であると考えるのです。
with coronaの時代、この「患者および院内感染対策」をしっかりと実行し、感染を抑えつつ医療崩壊の抑制、社会経済活動を両立していく。その期間に、コロナ治療薬、ワクチンの開発が進み、あるいは集団免疫の獲得が進み、世界全体が感染終息に近づいていくことを願って止みません。


   当院において少なからず感染のリスクを負いながら、患者の処置にあたってくれている当院の歯科衛生士2名、受付会計対応、院内感染予防関連用品などの管理を行ってくれている2名の歯科助手に感謝の意を述べるとともに、新型コロナウイルスの感染が起こらぬよう院内感染予防を継続していきたいと思います。それから3年間勤務してくれて、2月で退職、関東へ転居された歯科衛生士の健康を願っております。
そして最後に、通院されている患者様への新型コロナウイルス感染予防対策を、今後も徹底していくよう最大限の努力を行ってまいります。
それから、患者さんからのマスクの差し入れや、親戚からのアルコール系消毒類などの差し入れを頂いております。本当に感謝いたします。

 

 

 

 

投稿者: まえだ歯科

2020.02.09更新

少し遅くなりましたが、本年も宜しくお願い申し上げます。
気が付くと、あっという間に2月になってしまいました。。
本当に早いですね~!

年明け新年仕事はじめの1月は、急患、新患の患者さんの対応もあり、また、また和歌山市一部地域でアナウンスされた断水騒動で当院も断水予定区域に入っており、その対応に追われ、なかなか忙しい1か月となりました。
年末年始は長めのお休みを頂き、ゆっくりしたり、遠出したりしてリフレッシュするとともに、本年の展望、改善点などの時間を取って考えることが長期休暇中の恒例となっています。
さて、今年はどういうことをやっていくのか。先にタイトルをつけておきます

 1 スタッフ教育(特に歯科衛生士)
 2デジタルデンティストリー
 3Er-YAGレーザー
 4ノーベルガイドプラニングセミナー

それらを書く前に、まずは昨年を振り返ることから始めたいと思います。
1、一昨年は、以前にブログでも書かせていただきましたが、医院の業績としましては開業以来過去最高の業績を上げることができましたが、今年もその波に乗って、一昨年とまではいかなくとも、ある程度の業績維持を図ることが出来ました。
昨年を振り返ってみて、一番のポイントとして、業務内容がスムーズにいくと自ずとうまくまわっていくのかなということを、改めて感じています。
その過程において、歯科衛生士の業務、処置についての教育が進んだことは1つ大きなことです。この項目については、また別で書きたいと思います。

2、そして、歯科医療においてもインプラントや、補綴(歯や噛み合わせを作製、つくりあげていく作業)、矯正治療の分野でデジタル化がかなり進んできました。
 当院も年末に患者さんの歯型を取って作製する石膏模型をスキャニングする機械を購入し、年明けから、デモを数回にわたり受けた後に、歯科技工所を経由しないで歯を作製するミリングマシンを持つ業者に直接スキャンデータを送信して歯を作製するシステムを、補綴治療、矯正治療において、一部導入を開始しました。歯のデザインも1~2本の少数歯であればDr.自身で行います。本来従来法では歯の細かいデザインは歯科技工士が行いますが、デジタルではデザインだけ行えばあとはジルコニアやセラミックのブロックをミリングマシンが削ってくれるわけですから、全行程を技工士にお願いしなくてもデジタル上のデザインに習熟すれば歯科医師が考える噛み合わせの情報や考えをダイレクトに歯の作製に反映させることができるので、これは従来ではできなかったことができるようになったなあと感じると同時に、なかなか興味深いものだなと思います。

今後、近いうちにいよいよ口腔内スキャナー(口の中を立体的にスキャンする機械)も導入する予定です。デジタルの良いところは、デザインした歯のデータ等が何回でも引っ張ってきて修正したり、いろいろと従来のアナログ技法ではできないようなことも比較的短時間でできてしまい、作製や発注業務などがかなり簡略化されます。そして、そのままそれらのデータを処置前後でPC内にデータ保管、管理ができ、比較や分析なども行い易いと考えます。
そのため、患者さんへのプレゼンテーションにはかなり効果を発揮できそうです。患者さんもどういった歯が出来上がるか、イメージし易いでしょう。
そのあたりが本当にメリットですね。今後しばらくはデジタルでできること、できないことをアナログ、デジタル間で確認、往復しながらデジタルというものを利用していくこととなるでしょう。
 
3、それから、昨年年はじめから導入を開始したEr-YAGレーザーを用いた歯周病に対する治療に効果がかなり出ていると感じております。
この機器をどういう場面で使用するのか簡単に説明すると、
中等度程度の歯周病においてブラッシングの確認や指導、練習や歯周ポケット内の歯石除去などのいわゆる歯周基本治療を行った後、改善されなかった歯周ポケット(4~7mm程度)内の未だ残存している歯石や炎症組織の除去を中心に当レーザーを使用します。
 今まではこのような残存しているポケットに対し歯周外科処置を適用しておりましたが、このレーザーをしっかりと理論を踏まえた上で使用法に習熟することにより、歯周外科処置でないと得られにくい歯周ポケットの改善が、このレーザーによって、手術処置よりかなり低侵襲(患者にとってダメージが少ない)に得られるイメージです。術後も歯周外科処置のように歯肉が減って歯間部に隙間が出来てしまったりと、いわゆる歯周組織の減少が起きにくい状態で、歯周ポケットを浅くできることが Er-YAGレーザーの最大のメリットでしょうか。今年はフル活用することになるでしょう。

4、そしてノーベルガイドプラニング教室大阪での症例の発表(症例相談および症例報告)を継続して行っていくこと。昨年はすべての回で(毎月1回)症例の発表を行いました。
最近ではその取り組みから、プラニング教室大阪塾長の高山賢一先生から、一昨年、昨年にそれぞれ大阪、兵庫合同プラニング教室、デンタルコンセプト21総会での発表の機会を頂き、自身にとっても学術分野において大きくステップアップできた2年間でした。

文章をアップロードする前に読みかえしてみると、少しDr.目線の文章になってしまいましたが、実際のところ歯科医療を提供する側がこだわりを持って良いものを患者さんに提供していくことが最終的には患者利益に繋がると部分は確実にあると思います。
Er-YAGレーザーという器械一つとっても、歯周病の基礎的な部分やこのレーザーの特性や操作方法をしっかりと把握していないと、この器械を使いこなすことはできないでしょう。基本の部分があっての先端医療機器だと思います。
このような地道な取り組み、努力を重ねていくことが医療の質を高めていく、その結果それらが患者さんに還元されることを信じて、今年もコツコツと頑張っていきたいと思います。
最後までで読んでくれてありがとうございます。また長くなってしまいました。。では。

 

 

 

 

 

 

投稿者: まえだ歯科

2019.09.26更新


 上半期 6月後半、東京国際フォーラムにて、37回日本顎咬合学会一般口演で学会発表を行ってきました。
今年で、当学会での発表は4回目になります。5年前にお声をかけて頂いた中山先生に、今も本当に感謝しております。
演題は、「無歯顎インプラント即時荷重 ~緻密な治療計画とシンプルな術式」
自身の、インプラント無歯顎即時荷重ケースを4例ほどまとめて発表させて頂きました。
公園前中山歯科の、中山先生、津守歯科の津守先生に聴講に来ていただきました。

 前日夜、当院スタッフと会食の時間を設け、簡単な打ち合わせを行いました。
今回も常勤の歯科衛生士2名が学会に参加です。
毎年、東京の夜景の見えるレストランで会食をすることが、恒例となっております。
でも、今回は、夜景があまり見えませんでした。。
なぜならば、奥の席だったからです(・・;)笑
予約は早くしなければいけません。
割といいお店で会食をするため、スタッフもTPOをわきまえつつ、お洒落に着飾っています。
こういう場では、スタッフの、普段とは違う一面をみることも出来ますね。

 スタッフには、私と、その前後のDr,向けの講演と、歯科衛生士向けの講演に参加してもらいました。去年の日本顎咬合学会、近畿四国中国支部会の理事会でも意見を述べさせて頂いたのですが、Dr.とスタッフの聴講内容は、Dr.スタッフで完全に分けてしまうと、スタッフ目線というものを超えられないように思うので、Dr.向けの講演もDr.と一緒に聴講することが、スタッフの視野を広げるように思います。その割合は、自分が考えるに、7:3(衛生士向け:Dr.向け)くらいでしょうか。歯科衛生士のレベルが上がってくると、6:4か、いや、5:5くらいでもいいと思います。

 学会2日目には、勤務医時代の先輩の先生、同僚の先生ともお会いして、お話もできました。
2日目の朝に、裕正会 品川シーサイド歯科の先輩Dr.早川豪先生、同僚の生川寛之先生にお会いし、割と長くお話することが出来ました!
早川先生は、現在東京の高円寺でご開業されております。早川先生が退職されるとき、送迎会の司会をさせて頂いたことを思い出します。早川先生は、患者さんに対して、何をしてあげるべきかということをいつもよく考えられていて、一緒に勤務させていただいていたころから、いつも尊敬しておりました。インプラントのノーベルバイオケアのシンポジウムなどでも、よくお会いしますが、いつごろからか、すごく筋肉ムキムキになられて、思わず、ナイスバルク!と叫びそうになるくらいです。。でもお話を聞いてみたところ、維持するのが、結構大変だとのことです。

 生川先生は、お会いするのは4年ぶりくらいでしょうか。東京の森下というところで開業されていて、数年前には、蔵前に分院展開もされ、盛況、ご活躍です!GCインプラントのインストラクターもされています。スーツもお洒落で、相変わらず、イケメンぶりは健在でしたね~。

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 ラフな服装の早川先生とDr.MAEDA これから用事があるとか          お洒落なブルーのスーツの生川先生とDr.MAEDA

 お昼は、同級生の堀川先生と近況報告しながら、会食をしました。
堀川先生は学生時代からもうずっと一緒に行動をし、苦楽を共にしてきた、兄弟のような存在です。学会で四国から出てきてくれて、一緒に食事することが本当に楽しみなんですよね( ´艸`)

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                    ほりかわくんと昼食しながら症例をプレゼンするDr.MAEDA

 

 

その他、茨城の取手東歯科医院の先輩の友部先生、大学同級生の麻生君も、遠くのほうでお見掛けしました。
東京まで学会に出かけてくるということは、皆さん、それなりにうまくいって、ご活躍なのでしょう。そういうみんなの姿をみると、なんか嬉しいです。


 学会発表を行う目的とういうのは、幾つかありますが、やはり自身の治療ケースを振り返り、掘り下げて検討し、評価を行うということが、とても大切な部分であるかと思います。今回も、5年前から取り組んでいる、無歯顎インプラント即時荷重のケースについて、まとめが出来、発表スライドを作製しながら、症例を緻密に振り返る、良い機会になったと感じています。
学会発表を、今後もコツコツと継続してきたいと考えております。頑張るぞ。

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                  当院歯科衛生士2名が参加                       学会発表中のDr.MAEDA

 

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      ☆学会会場の東京国際フォーラム 吹き抜けの特徴的な造り☆

 

 

 

 

投稿者: まえだ歯科

2019.08.15更新

 皆様、こんにちは(^^)flower
暑い日が続いておりますが、熱中症など、体調崩されておりませんか。

 本日はお盆最終日ですが、台風で、天候は大荒れです。
私も、お墓参りなど、お盆の前半に供養を行ってきました。

そして今日は、病院の片づけ、書類の整理、作製などを行い、また夏休み明けに良いスタートが切れるよう、長期の休みを利用して、様々な準備をしております。
私は、とにかく「準備」というものを重視し、それを怠りなく行うよう、いつも心掛けております。

 

 当院は、夏期、冬期の休暇を長めに設定しております。

休診日が増えて、少々患者様には迷惑をお掛けするかもしれませんが、
やはり自分自身にも心に余裕を持たせ、普段忙しい時には出来ない、色々なことを振り返る時間に、この休暇を充てております。先ず、前述した整理、片付けを行い、頭をクリアにした状態を作り出し、そこから、今後始める新しいこと、改善の余地があることについて、少し深く考えてみます。何について考え、検討するかは、普段からピックアップして、既に用意しておきます。
ここが大事。休みにはいってから考えていると、タイムオーバーになってしまいます。

 その内容としましては、6月に、ここ4年程毎年、学会発表を行っている、東京国際フォーラムで開催される日本顎咬合学会総会での、学会発表で、インプラント即時荷重4つの症例に関してプレゼンを行ったのですが、術前に必要な検査や資料について、発表後の反省も兼ねて、不足しているものや、それを行うタイミングについて、確認、検討してみました。このような大掛かりな治療は、要領がよくないと、とにかく治療期間が長引いてしまいます。

それを踏まえ、ルーティンに行う部分を再確認し→それによりもう少しスムーズに治療を進めることができるようになる→治療期間の短縮につながるという結論に達したので、改善を加えました。

 また、7月に東京医科歯科大学卒後研修セミナーのEr -YAGレーザーの講演会を聴講してきたのですが、このレーザーの歯周病に対する処置方法は、歯周病の治療段階、メンテナンスの段階において、かなり有用であると感じました。
やはり、大学で研究段階から、基礎を身に着けている先生のプレゼンは、かなり説得力があるように感じましたね。。
当レーザーに関して理解を深めるとともに、歯周ポケットの改善を図るための、低侵襲の歯周外科処置(Periodontal Er-YAG Laser Operation)を実践できるように準備を進めております。 

 それから、根管治療について。
根管治療というのは、いわゆる歯の神経を取る治療や、虫歯の最終形ともいえる根の先端部が化膿する「根尖性歯周炎」(いわゆる歯周病ではない)における治療ですが、その治療に使用するリーマーやファイルという細い針のような器具があります。近年注目され、様々な工夫、進化が進んでいるのがNi-Tiファイルです。このファイルは、エンジンに装着して使用するため、作業の効率化、治療時間短縮という点でかなりのメリットがあり、当院でも使用しておりますが、無理に掘り進めると、しばしば先端部が破折するというトラブルが起こります。そのような時は当院ではマイクロスコープ2台で根管治療にあたっておりますから、すぐマイクロ拡大視野で破折片を除去するのですが、余計な時間もかかってしまいます。最近では、かなり破折しにくいファイルもでてきており、その選択、セミナー受講などの手続きを進めました。

これらのことについて、長期休暇を利用して、少し深く突っ込んで、勉強、整理をしてみました。
普段から、時間の使い方について工夫を行い、現状維持+「これから行っていくこと」を意識して、日々コツコツと毎日を大切に頑張っています。
夏休み後半は息抜きのために小旅行に行って参ります

それでは皆様、ごきげんよう( ^^) /

 

 

 

投稿者: まえだ歯科

2019.05.03更新

当院も4/28(土)~5/6(月)までお休みを頂いております。
GWも中盤に差し掛かりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私は、4/29ゴールデンウイークを利用して東京の日本武道館に柔道の全日本選手権を観戦に来ました。
朝ホテルで、スマホを見ると、着信が。患者さんです。
インプラントの上部構造のネジが緩み、歯が外れてしまったと言います。
上部構造のやり換え治療をしており、次また外せるようにネジを緩めに締めたものが、外れてしまったようです。休み中にこのような事態になると、患者さんも大変です。
1日に和歌山に戻るので、帰ったら、ネジの締め直しを行うことを約束し、アポイントを取り、電話を切りました。。
大変申し訳ないです。

気を取り直して、日本武道館へ向かいます。
私はこの4月29日は柔道を観戦する日と決めています。
大学の時、桐蔭高校柔道部のOBで、元和歌山県柔道連盟会長の故戸村達臣先生のお声を掛けて頂いたのがきっかけです。大学が関東にあり、アクセスがよかったことから、毎年お誘い頂き、九段下の日本武道館に通っておりました。先生が東京に来られた際には、よく食事に連れて行って頂いたり、いろいろと思い出があります。
また、小学校、中学校の時に通っていた健心館畠中道場から、全日本少年柔道錬成大会で、武道館に連れてきて頂き、試合を行ったこともあります。社会人になってからも、館長の畠中耕筰先生、副館長の畠中健先生のお誘いで、少年柔道の引率のサポートをさせて頂いて、私も、柔道着を着て少年柔道錬成大会に参加させてもらったりもしました。その他、様々な試合に観戦に来た思い出があります。
現地に着くと、色々な思い出が去来するこの場所は、私にとって、大切な場所のひとつです。
この全日本柔道選手権は、体重無差別で行うため、現在の体重別に区切られた柔道では見られない、柔道の本質をついた試合がみられることも、醍醐味のひとつといえます。
世界選手権やオリンピックに出場できなくても、この全日本選手権を目指して、全国の猛者たちがしのぎを削る、文字通り、柔道日本一を決める大会であるのです。
この日の試合も興味深い試合が多く、決して身体が大きいとは言えない千葉県警の加藤博剛(ひろたか)選手(Wikipediaで検索したところ、身長は174cmでした!)が、大きい選手を巴投げと寝技を駆使して決勝まで勝ち上がりました。まさに工夫の柔道です。決勝では、世界選手権優勝のウルフ・アロン選手が、延長戦(ゴールデンスコア)の末、加藤選手を破り、初優勝を飾りました。両選手ともに、千葉県所属選手。千葉県所属の選手が活躍すると、かつて千葉県の住民であった私は、やっぱりなぜか嬉しくなります( ^^)

試合が終わり、今回はもう一つ向かう場所があります。
以前大学の学部があった千葉県の稲毛区。
これもまた、柔道でお世話にった方にお会いするためです。

高校時代、桐蔭高校柔道部に所属し、天理大学柔道部出身の大久保健一先生に指ご指導頂き、また先輩の畠中健さん、同級生の下浦牧さんが強豪校の選手を相手に次々と勝ち上がり、全国大会に出場する姿を間近でみていて、刺激をもらい、自分ももっと強くなりたいという気持ちを持ち続けいました。しかし、大学受験もあり、2年くらいで一区切り、道半ばという感じで、高校の部活動を終えました。そのようなことから、大学では柔道だけは一生懸命やろう、自分がどのくらいできるか試してみたい、という思いを強く持っていました。

大学時代、柔道部に所属しながらも、部員が少ないために、練習場を先輩から教えて頂き、外部の道場に練習にいっておりました。千葉市のコミュニティーセンターにある「柔練会」というクラブチーム的な集まりに週2回、参加していました。上京後初めて行った道場で、声を掛けて頂いた尾山眞司さん。今日はこの方に10年ぶりにお会いするのです。尾山さんはミュニケーション力が高く、若手への面倒見が本当によい方で、私も相当な面倒をみてもらいました。。

JR稲毛駅で待ち合わせをし、10年ぶりの再会に固く握手をさせて頂きました!当院は、今年開業して10年になりますが、東京から和歌山に帰る際、ちょうど10年前に、この稲毛で、これからお話しする「柔連会」の仲間を集めて頂き、自分のためにお別れ会を開いてくれました。それから早10年です。。

学生の時によく行かせて頂いた駅から少し歩いたところにある、「モランボン」という焼肉屋さんに向かいました。ここのお店は、お肉の質はかなり良い上に、格安の定食があり、ライスがおかわり自由という、学生には嬉しいメニューがあります。ここの店員の方と顔見知りで、自分にとって、千葉のお母さんといった感じの方でした。入店し、暫くしてから、働いていらっしゃる姿が見えたので、ご挨拶をさせて頂きました。そしてなんと嬉しいことに「、東京歯科大の前田さんですよね!」と、覚えてくれていました((´∀`)少しぽっちゃりされておりましたが、お元気そうで、当時の面影そのままでした(^o^)
お肉も、美味しさと同時に、どこか懐かしい味がしました(* ´艸`)

食事をしながら、たくさんの柔道の話に、花を咲かせました。また、柔連会のメンバーの近況などもお話しして頂き、柔道に携わっている方、そうでない方、月日が流れを感じながら、学生時代の柔連会の仲間との思い出が込み上げてきました。
尾山さんは15年程、第一線で柔道の試合で審判をされており、全日本柔道連盟公認審判員の、Aライセンスを取得されています。全国高校選手権の決勝や、全日本実業団の決勝戦で審判をされるようなレベルでの活動をされていて、この日も、国内の数多くの試合を見られている経験から、自分レベルだと気づかないことを、たくさんお話ししてくれました。柔道の話をされる尾山さんの様子は、20年前と全然お変わりがなく、何か、タイムスリップしたような感じがしました。。一般の会社員でありながらも、熱い気持ちを持って長年柔道に携わられている方です。そのころから尾山さんは、当時ではまだ浸透していなかった、試合の動画なども撮影されて、分析したり、本当にコツコツと頑張っておられたのを間近でみていました。このような高いレベルで現在の活動をされていることを、私自身も、本当に誇りに思っています。

尾山さんには、稽古をつけて頂いたのは勿論のこと、ケンカ四つ(右組対左組)の組手の細かい技術の指導(相四つ(右対右、あるいは左対左)の、オーソドックスな柔道しか知らなかったために、ケンカ四つの組手の状況の有利、不利をよく理解していなかった)や、寝技において、自分が下になった時の、下からの寝技の攻撃技術などを、大学まで来てもらって、マンツーマンで教えて頂いたりしました。私は少年柔道~高校まで柔道を続けていたこともあり、投げ技の入り方などの基本はよくできていたと思いますが、柔道という競技全体を、まだあまり把握できていなかったように思います。尾山さんは、柔道競技というものを、本当に広く理解されていて、柔道のセオリーというものを、柔連会に来てから教わったように感じています。柔道経験者でないと、なかなかよく分からない話ではあると思いますが。。
これを理論的に、言語化して、伝えるのが尾山さんは本当に上手だったと記憶しています。
理論的に相手にわかるように、言語化して説明する能力というものは、現代のビジネスシーンにおいても、必須能力になっていますよね。


暫く道場に通っているうちに、ある練習の日に、自分にとって凄くショッキングな出来事が起こりました。この道場は、いろいろなところからいろんな人が道場に練習に来るのですが、ある日、自分と同じくらいの背丈の、近隣の学生がやってきて、乱取り(試合と同じ様なフリーの練習)を行ったのですが、パワーが違うのか、相手が繰り出す技に全く対応できず、もう嫌というほど散々に投げられてしまいました。練習が終わってから、皆が一息ついている時、自分は、ベンチに座りながら、あまりの無力さに涙が溢れてきました。この涙の正体が何であるのか、悔し涙であることは自分ではすぐに分かりましたが、とにかく涙が止まらないのです。自分ではできる限りのことはやっているという自負があったため、余計に悔しかったのだと思います。乱取りの状況と、その後の自分の状況を見ていたのか、それを周りのメンバーが察知して、色々と声を掛けてくれました。そして、尾山さんが色々と現在の練習やトレーニングの状況を聞いてくれて、いくつかの提案をしてくれました。

先ず、専門的なウエイトトレーニングと相撲の四股。ランニングなどはやっていたのですが、腰を強くするには、負荷をかけたトレーニングをするほうが効果的だという指摘をうけました。体重が65kgそこそこだった自分は、成長期ということもあり、しっかり食事をして、練習に耐えうる力をつけるためにも、身体を大きくして戦ったほうがいいだろうと考え、基礎体力をつけるのと、体重を増やす目的で、ウエイトトレーニングや四股の踏み方をマンツーマンで教えてもらいました。
そこから自分なりに工夫して、瞬発力や技の受けを強くするための足腰を作るために、階段や坂道をダッシュするというトレーニングも取り入いれていきました。

それから練習場所の確保。やはり週2~3日の練習量では、地力をつけるための練習はできません。要するに、質より量をこなすほうが、現状では大事だよということです。町道場や大学の道場をいくつか紹介して頂きました。尾山さんは顔が広いので、最初は挨拶を兼ねて付いてきて頂いたりもしました。
それがきっかけになり、色々なところに練習へ行く、大学に練習仲間を連れてくる習慣が付き、週に5日、練習日を確保することができるようになりました。

そのころ学生で車もなく、基本電車か自転車移動であったことを気にかけて頂き、練習後や試合の際はいつも、車で自宅まで送って頂いたりしていましたね。

当時は、学生だった自分は、非常に恥ずかしことではありますが、これらの時間を他人のために割くことが、一般の社会人の方にとって非常に大変なことだということを全然実感として分かっていなかったように思います。
尾山さんが、これらのことを本当に好意で行ってくれていたという事実。これはもう大変なことです。

柔連会に通い始めてすぐに出場させてもらった千葉県実業団大会では、私は、肩車という大技を食らい、試合会場がどよめくくらい思いっきり畳に投げつけられてしまいました。これも、自分が何をされたのか全く分からず、後からこういうふうに投げられたんだよと周囲から聞かされ、かなり落胆したのを覚えています。
それから数年後、色々と勝つための工夫を行い、十分な練習を積んで、同大会の71kg以下級で準優勝することができました。そして、同じ年の全日本歯科学生大会71kg以下級でも優勝することが出来ました。
小さいながらも、これらの成功体験を積んだことが自分にとっては、非常に大きな出来事になっております。(勿論、努力したことが全て報われたわけではなく、報われなかったことのほうが、割合としては多かったわけですが。。)
でも、一番の収穫は、結果が出なかった時も、柔道から逃げなかったこと。

このように学生時代は、勉強は最低限で、柔道を凄く一生懸命やっていましたが、この時に培った体力や集中力、工夫する力、目的を達成するために考える力、やりきる力を備えることが出来たことが、現在の仕事をする上でも、実は核になっているのです。
 現在私は、自身の患者さんに対する治療データをまとめあげ、分析、検証し、学会や勉強会で発表を行うことをライフワークにしております。もう5年位になりますでしょうか。最初の頃は、手法や発表もたどたどしく、周囲からもあまりよい評価を得られませんでしたが、ここでも、やっていくことは、柔道の時と基本、同じです。周囲の先輩たちのサポートを受けながら、反省、工夫し、やり切っていく。それの繰り返しです。最近では学会発表、勉強会での発表も結果が出てきており、周囲の私を見る目も確実にかわってきました。
 私は自身の手掛けている歯科治療内容を、第三者から批評を受け、オープンにできるくらいのものにすることを、自身のスタンダードにしていきたいのです。これらは、間違いなく患者に還元できるものですし、患者利益に繋がるものです。

話を戻しますが、柔道において、それらの重要な要素を身につけることは、おそらくひとりでは難しかったでしょう。
この尾山さんの気遣い、サポートがあってそれらのことが形になったことは間違いありません。そして、柔連会の他の先生やメンバーの方々も、自分が真面目に取り組んでいたからか、好意的に接してくれ、そのこともプラスに働いたように感じております。
尾山さんと、他の先生、メンバーに、本当に感謝です。


今日書かせて頂いている学生時代の柔道のお話は、仕事におけるスタッフ教育においても同じことが言えると思います。
新人のスタッフ(特に歯科衛生士)には、指導する側も、様々な部分での多少のロスを想定しながら、時間を割き、指導を行うことは必要なことでしょう。スタッフのほうでも、良い指導者を見つけ、一定期間(最低2年間、できれば3~4年)じっくりと指導を受けるべきだと思います。
指導する側も、スタッフ指導に足る知識や技術を身に着けておかなければ、スタッフ指導は成り立ちません。やはり、スタッフが勉強しよう、技術を吸収しようというコンテンツを備えて、環境を整備しておかなければ、いけないと思います。
あとは、伸びていくスタッフに共通することは、やはり、周囲の協力を得やすい状況を自分で作っていく謙虚さだと思います。

自分にとっての平成の時代は、主に大学~現在までということになりますが、平成という時代を、自分はこういうふうに生きたよ、ということをこの節目の時に、書かせて頂きました。
今日書いたことは、私にとって、平成という時代のなかの、とても大切な出来事のひとつです。

楽しい会食を終え、もう一度、店員の方に挨拶をし、お気に入りの焼肉屋モランボンを出て、懐かしい稲毛の街を歩きながら、駅に向かいました。途中の駅まで尾山さんと同行させて頂き、その後、これもまた懐かしいJR総武線に乗りながら、宿泊先の秋葉原に戻りました。
そして、乗車中、今は忙しく、柔道から距離を置いてしまっている自分ですが、自分自身を育ててくれた柔道に、もう少し、なんらかの形で関わっていきたいなと思いました。


日付は5月3日、令和の時代になって早や3日です。
月日は経つのはほんとに早いです。

さて、令和の時代を、これからどのように進んでいきましょうか。

これからもコツコツとやっていくというスタンスに変わりはありませんが、歯科治療においては、これまでの経験を生かして、それらをブラッシュアップしていく、自分自身、そういうステージに来ているという実感もあるので、今やるべきことをよく見定め、良く考えながら、やっていくことの質、クオリティーを上げていく努力をしていこうと思います。これは、学生時代の柔道で、前述の様に、一定の成果は出たものの、残念ながらやりきれなかった部分というものがあり、それらを克服していく作業と、もしかしたらリンクするかもしれません。

今回、私の柔道の恩師、尾山眞司さんにお会いし、平成を振り返ると同時に、令和の時代をどのように進んでいくかを考える、よいきっかけを頂きました。
本当にありがとうございます!

私は、令和の時代を、コツコツと、そして、考えながら、前に進んでいきます。

それではまた。

 

 

 

投稿者: まえだ歯科

2019.03.07更新

数年前より導入を検討していました、Er-YAG(エルビウム ヤグ)レーザーを今年の年明けに購入、準備期間を経て、診療に導入しております。

先ず、このレーザー機器の特徴を簡単に説明いたします。
このレーザーは、他のレーザーと比較して、生体へのダメージが少なく、治りが早く、治癒が綺麗である、というのが、最大の特徴であります。また、硬組織(歯)に対しても利用できる、虫歯部分の除去も可能となる、唯一のレーザー機器であります。
全般的には、昨年まで臨床で使用しておりました、CO2レーザーより、細かい処置を高い精度で行えるであろうという期待があります。

具体的には、歯周病に対する外科的処置に対し、汚染歯根面への歯石の除去や歯周病原因菌により、化膿した部分にできる、肉芽組織の除去廓清(かくせい)、殺菌処置を目的として使用する考えです。それを、メンテナンスや歯周外科処置において行っていきます。

今後は、CO2レーザーとEr-YAGレーザーを、用途に応じて使い分けていきたいと考えております。

      
2年程前からデモなどを4~5回繰り返し、感覚を掴み、準備期間を経て今回の導入に至りました。


準備期間では、スタッフも(株)モリタの社員の方々から
機器の取り扱い、メンテナンスの方法などの説明を受け、万全の体制で導入しております。
しております。
また、経過報告など、ブログ内で行っていきたいと思います。

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今回導入したEr-YAGレーザー 「アーウィンアドベール EVO」

 

 

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(株)モリタ社員の方から、機器の取り扱いについて説明を受けるスタッフ

 (左は、いつもお世話になっている担当の皆川さん お疲れ様です!)

 

 

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このような、鶏肉や卵を使用したデモを4~5回受け、非常に精度の高い処置が可能であることを

感じ、今回、導入に至りました。

 

 

 

 

投稿者: まえだ歯科

2019.01.21更新

 今回は、歯科医師として必要な勉強について書きたいと思います。

医療技術というものは、本当に日進月歩です。新しい技術が年々開発され、2、3年くらい経つと治療技術が検証され、その都度アップデートされていきます。
 
   それらに追従していくためには、どうするか。。

各学会の年次総会などに出席し、治療のトレンド、トピックを聞き、情報を入れるようにしていきます。
勿論、これらは従来の技術に上乗せされることが多いと思いますので、基本、基礎というものが重要であることは、言うまでもありません。


   治療技術の習得はどうか。

各治療について、実習付きのセミナーというものがあります。治療の勘所などを、実際の症例や実習を通じてレクチャーしてくれます。やはりその分野に長けている先生の治療技術は、なるほどレベルが高いです。。

ここまでは、インプットの作業です。

 

 今度は、インプットしたものをアウトプットしていく作業として、

私は、勉強会での発表や学会での発表を行っています。
実際、治療技術の向上には、自身の症例を、客観的な目で評価してもらう必要があります。
そして、経過を追って、治療後の結果を検証していくことで、その治療の良し悪しが見えてくるのです。
5年前頃より、このような作業を地道に、繰り返し行っています。こうすることにより、自分が行った治療を振り返ることができ、治療技術も向上に繋がっています。
そしてそれらを学会で発表し、一定の評価を得られるようなレベルになってきているように感じます。

特に矯正治療、インプラント治療などは、治療技術や診断にある程度の力が必要な治療項目であるように思います。そのような場合、勉強会に属し、その中で積み上げ、レベルアップを図る作業が非常に大切であると考えます。

 

  インプラントに関しては

  「ノーベルガイドプラニング教室大阪」 
その他、時々幾つか。 

  矯正に関しては

  「NLT矯正セミナー・アドバンスコース」


において、勉強や症例発表などを継続して行っております。

 

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ノーベルガイドプラニングセミナーでの発表の様子

写真は、塾長の高山賢一先生。

 

 

次回は、スタッフ教育について書きたいと思います。

 

投稿者: まえだ歯科

2018.12.31更新

 

今年も残り僅かとなりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか?( ^^)

さて、12月28日、今年の最終診療日。
最終日は急患の方も何人か来院され、忙しい一日となりました。スタッフも頑張ってくれて、何とか無事今年の診療を終えることが出来ました。

今年も多くの患者様に来院して頂き、診療内容等も含め、開業10年目で、最も業績が上がった年にすることが出来ました( ^^)

数年前から治療内容、医院運営、業務改善など、色々な面から見直しを行ってきました。

先ず、受付業務
 受付窓口での保険証関連の確認
 電話対応などの注意点
 診療業務の進行などの確認のポイントなど

これらは、業務をスムースに進行し、お会計が終わるまで、時間をある程度守り、患者
さんが通院し易いようにする上で、大切なポイントです。

それからカルテのチェック
 カルテチェックには2つの作業があります。
1先ず、前日夜に全てのカルテ、レントゲン写真のチェックを行います。
2それから、治療後にその場で記載したカルテを、空き時間に、漏れがないか、次回の予約時に、事前に用意しておくべき、個別に必要な、資料、材料、器材がないかをチェックします。

こういった、基本的、かつ重要な部分を徹底して行いました。これが、今年の飛躍できた最大の要因であると、私は判断しております。

勿論、学会参加学会発表、セミナー参加、勉強会での症例発表、症例報告、など治療内容向上のための取り組みも継続して行っています。
その取り組みについてはまた、改めて書きたいと思います。

それらを総括して、多大な協力を頂いた、当院スタッフ、業者の方々、勉強会の先生方に厚く御礼申し上げます。
そしてそれらをご来院頂く患者の方々に還元できるように、
当院一丸となって、来年も頑張っていく所存であります。


それでは、残り僅かな2018年を、お楽しみください。
そして良いお年をお迎えくださいね((´∀`*))
皆様のご健康、御多幸をお祈りいたします!では。

 

 

 

 

 

投稿者: まえだ歯科

2018.11.04更新

9/15(土)、16(日)の2日間、大阪 中之島の国際会議場で行われた、日本口腔インプラント学会に出席し、幾つかの講演を聴講してきました。

・「審美領域のインプラント治療の長期予後」
・「インプラント治療 高齢者にける外科的対応基準」
  1高齢患者の歯科インプラント治療における考慮
  2インプラント治療 高齢患者に対する口腔内科的留意点
  3骨吸収抑制薬(BPs)を使用中の患者における口腔インプラント
・「垂直的な歯肉増大を目的としたインプラント体埋入時同時CTGに関する短期臨床評価」

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その中でも今回は、「インプラント治療 高齢者にける外科的対応基準」に焦点を絞ってお伝えしようと思います。この発表は、今後のインプラント治療(特に治療が終わった後のメンテナンスの部分)において、重要な事柄がたくさん示されているように感じました。

1高齢患者の歯科インプラント治療における考慮
 (共催 顎顔面インプラント学会)

高齢患者を治療する際、治療時の負担を軽くするために必要とされる、手術時、その後の補綴治療(歯の部分に当たる上部構造の設計)の注意事項についてプレゼンがありました。

手術時の注意事項、負担軽減事項として、
先ず、服用薬剤の入念なチェック。そして患者の術前の血液検査、術中のバイタルチェック(血圧、脈拍、など)、は、全身的に内科的疾患を有する高齢者の患者にとって、必要に応じて行うことが大切です。
その他に、口腔内特有の事項として、術中のドリルからの注水に対する吸引があります。これは、ドリルで骨にホールを形成する際、発熱がおこるため、注水しながら、ドリイングを行うわけです。高齢者は嚥下機能が低下しているため、吸引が不十分であると、誤嚥性肺炎などを起こしやすくなります。その吸引器具やテクニックなどの紹介について。
そして、次に治療期間。これは私も4年前より行っている、即時荷重治療(インプラント埋入と同時に仮歯を装着し、ある程度咬めるようにする)により、治療期間短縮に寄与します。
また、大掛かりな骨移植など、侵襲の高い骨移植などは避け、出来るだけ患者自身の既存の骨の中にインプラントを埋入する治療計画を立てるなどの配慮が患者にとっても負担の軽減につながるでしょう。
そして、患者が寝たきりになり、介護が必要になるような場合は、インプラントの清掃も十分できなくなることが予想されるため、固定制の上部構造を一旦外し、インプラントにキャップを被せた上で、患者自身(あるいは介護者)が着脱が可能で、清掃が容易な義歯(いれ歯)に移行するなどの工夫が有効であることを述べられていました。
                             *(1は、市川総合病院時代の先輩、木津康博先生の講演でした。)

2インプラント治療 高齢患者に対する口腔内科的留意点
超高齢化社会に突入した現在、高齢患者に施工されたインプラント症例を診る機会が増加しています。それに伴って、全身的背景を考   慮した様々な口腔疾患を口腔内科的に診断する目が従来にもまして、必要とされてきております。
次に、インプラント周囲組織について。
主なインプラント周囲組織は、上皮、骨、骨髄であるが、特に上皮組織は癌化する可能性があり、インプラント周囲組織にも悪性腫瘍は発生しうるため、そのような場合は、早急な対応を行う必要があります。それらの診断に必要な知識を整理するために、前癌病変などの潜在性悪性疾患について、症例を交えながら解説がなされました。

*(これは、いわゆる口腔粘膜疾患といわれるもので、これらの疾患の扱いを専門的に行うオーラルメディシン(口腔内科)を標榜する東京歯科大学市川総合病で歯科医師のキャリアをスタートさせた私にとっては、この分野は得意とするところでもあります。)

また、インプラントを既に受けられている患者で、全身において他の部位に発生した悪性腫瘍(いわゆる癌)の治療を受けられる患者も少なくはありません。抗がん剤や放射線治療が施行された患者のインプラント周囲組織に対し、どのような影響を与えるか、認識する必要があります。
また、複数の慢性疾患を有し、多剤併用の副作用として、唾液の分泌抑制による口腔乾燥(口の中が乾くと口腔内細菌の増加や口腔内粘膜にカンジダ症などのいわゆる粘膜疾患の発症に関与します)が起こり易くなるほか、抗うつ薬とインプラント治療の関係性についても言及されていました。
                                            (岩手田医科大学 口腔外科学分野
                                                   宮元郁也 先生講演)

3骨吸収抑制薬(BPs)を使用中の患者における口腔インプラント

近年、加齢に伴う体力の低下により、転倒などによる身体の骨折のリスク回避から、骨粗鬆症治療薬であるビスホスホネート薬(BPs)を処方されている患者が増加傾向にあります。
この薬剤の重大な副作用の一つとして、難治性の骨露出を伴うBRONJ(口腔内顎骨壊死)の発症が挙げられます。以前は、それらの副作用の発現は、骨へ転移した悪性腫瘍の骨病変に対し、高用量のBPs注射薬に限定されていると考えられていましたが、骨粗鬆症に対する低用量BPsでもこの副作用が発症することが明らかとなってきました。(骨粗鬆においても、高用量の注射薬を使用する場合もある)
さらに、BPsとは異なる作用機序で骨吸収抑制作用を示す、抗RANKL抗体薬denosumabでも同様の顎骨壊死が発症することから、現在(2017年)では骨吸収関連顎骨壊死(ARONJ)との呼称に変更されました。本邦では近年、当疾患の患者数が以前よりも10倍以上に増加しているという報告があります。
   従来、この骨吸収抑制薬を使用中の患者に対しては、インプラント手術も含め、顎骨への外科的侵襲を、できるだけ回避することが推奨されてきましたが、外科的処置を行っていないにも関わらず、慢性炎症の原因となる歯周炎に罹患した歯に隣接して、このARONJが発症することも少なくありません。
このことから、骨吸収抑制薬を服用中であってもARONJを予防するために、抜歯(外科的処置)を検討するべきであるとの見解が示されていました。
手術時のみならず、インプラント治療後に、インプラント周囲炎などの慢性炎症が起こっている部位に対して継発する、この顎骨壊死の副作用への予防が急務であります。
要は、手術時だけではなくて、慢性炎症が存在すると、そこから顎骨壊死が起こる可能性がありますよ、ていう話です。
それには、日常の患者自身のブラッシング、医療サイドで行う専門的クリーニングが大切であることは言うまでもありません。
                                            (兵庫医科大学歯科口腔外科学講座
                                                  岸元裕充先生 講演)

インプラント治療は咬合の回復、崩壊の抑制、審美性の回復などの点において、従来の治療と比較しても、多くの優れた点があることに異論はないはずですが、その一方で、超高齢社会に入った現在、それらがを長期的に維持させ、経過観察を続けていくためには、このような視点を有しておく必要が出てきていることは、見識のあるインプラント治療従事者であれば、これもまた異論のないところでしょう。
歯科は医科のインターン制度のように、基礎的研修がいまだ、国の定める研修のカリキュラムに組み込まれているとは言い難い面があります。ですので、私は常々、口腔外科での研修を最低でも1年間は行うべきであると考えております。(私は学生の臨床実習の頃からそのように考えていたこともあり、1年間の、一般の医科研修も含めて卒後4年間、口腔外科に従事しております。)
そのような研修を受けている者でさえ、年々進化してゆく医療に追従するよう、知識や技術をアップデートさせていかなければなりません。

これらの講演ではなされている内容は、インプラント治療の光と影の部分でいうと、これはまさに、影の部分であるかと思いますが、これらの問題を認識し、必要性が生じた場合には、しかるべき対応を適切に行っていく必要があるわけです。
我々、インプラント治療に従事する歯科医師は、インプラント治療の治療効果(審美性や咬合の回復など)ばかりに目を向けるのではなく、インプラントそのものが、生体にとって異物であることを考えると、それらが長期的に安定しているか、周囲組織がインプラントに対し、どのように反応しているのか、また、全身的に為害作用を及ぼしていないかなど、注意深く観察しながら、定期的メンテナンスを行っていく必要性があることを、これらの発表が示唆しているように感じました。

 

        「攻めと守り」 といったところでしょうか。。

 

 今後も、襟元を正し、患者様に対して施術をさせて頂いた責任というものを念頭に置きながら、メンテナンスの必要性、重要性をしっかりと患者に説明し、継続してメンテナンスを行っていきたいと考えます。そういったことを改めて再確認させられた、このセッションは凄く意義のあるものだったと思います。

            That's Oral  Medicine !! 

 

 

 

 

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    Nobel Biokare のブースで、映え(ばえ)スポット発見!!

       記念撮影を行いました、、((´∀`) ☆☆

    よくこんなの、作ったもんですよ~、まあ、撮る人も撮る人ですけどね~ 笑

    画像、横にしときます。。

                                                                

 

 

 

投稿者: まえだ歯科

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