Implant インプラント

インプラント

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私が口腔外科在職中に、入れ歯を使用していた患者様がインプラント治療を受け、歯が入った後に非常に喜ばれているの目の当たりにし、インプラントの有効性を確認してきました。
1952年にスウェーデン、イェ-テボリ市のブローネマルク博士が研究のためにウサギの頚骨に埋入した純チタン製の装置が骨組織と強固に結合することをと偶然に発見しました。博士はこれをオッセオインテグレーションと定義しました。その後、約10年間の基礎的な研究を経て、インプラントの臨床応用に至っております。
その後暫くの間、様々なインプラントが開発され、臨床応用されてきましたが、チタン製のスクリュータイプ以外のインプラントは結果が不確実で失敗も多かったのが現状でした。しかし、私が口腔外科に在職していた時期はそういう時代が過ぎ去り、スクリュータイプのインプラントが全盛期を迎える時期で、その頃行われていたインプラントの治療の成功率、有効性を身を持って感じております。
ただ、その頃はインプラント治療は未だ成熟期には入っておらず、勿論咬むことは出来るのですが、まだ手術時の患者側の負担が大きかったり、審美的にインプラントの歯を作ったりするところには限界がありました。
ここ10年程でインプラント治療は、様々な臨床データの蓄積から科学的な検証が進み、手術をより楽に受けられるよう、より治療期間が短くなるよう、より審美的な歯が入れられるよう様々な研究が進められ、進化を遂げ、現在は成熟期に入ってきております。
その後、私自身も様々な研修会に出向き、時代に則したインプラント治療を学び、患者側に負担の少ない治療、審美的な治療を提供 できるような治療技術を習得して参りました。そして、現在も研鑽を続けています。

私は現在の歯科医療において歯が無くなった場合の治療は、いろいろな状況にもよりますが、現状では総合的に判断した場合、インプラントの咀嚼能力や、患者様のQOLの向上に貢献できる部分は大きく、ブリッジや入れ歯と比較し、優れている点が多いように感じます。また、インプラントをいれることにより残っているご自身の歯に負担がかかりにくくなり、結果的に歯が残りやすくなります。
他の治療、1、ブリッジでは特に問題のない歯を削って治療しなくてはならず、削った歯はどんなに精度の高い被せ物を装着したとしても辺縁から虫歯になるリスクは多かれ少なかれ、避けられません。またブリッジは少ない本数で歯を支えるため土台の歯に負担が掛かり易くなり、神経のない歯の場合は根の破折が起こり易くなります。折れた歯は状況にもよりますが、抜かないといけなくなる可能性が高いです。また2、入れ歯(義歯)では入れ歯の留め金がかかる歯は非常に横に揺らされる傾向があり、やはり歯に負担が掛かり易くなります。
図のように(ブリッジや入れ歯)では、時間の経過とともに治療した歯に負担がかかり、抜歯に至る確率が多くなり、 インプラントの様に歯の欠損(歯が無くなること)の拡大をとめることは出来ないでしょう。



   

インプラントの特徴と構造

先に述べたように、従来、歯が抜けた後の治療法は両隣を削るブリッジやプラスチックの板や留め金から構成される取り外し式のいわゆる部分入れ歯が中心でした。これらの方法は一般的にほかの歯に負担がかかるため、治療後も暫くすると治療した歯がだめになり、歯を失う結果になることも少なくありませんでした。
インプラントの場合、そのような治療法と比較し、他の健康な歯に負担を掛けることなく歯を失った部分に対し、単独で治療を行うことができるのが特徴です。

インプラントの構造は天然の歯に限りなく近く、噛む感覚や見た目(審美性)まで再現することができます。基本的にインプラントの構造は、顎の骨の中に埋め込むフィクスチャー(インプラント体)とそれを歯の部分につなぐアバットメント(土台)、その上にかぶせる上部構造(歯の部分)からなります。インプラントは単に骨のなかに入っているだけではなく、骨と化学的に結合したオッセオインテグレィションといわれる、かむ力に抵抗できるくらいがっちりした骨との結合状態になっています。

インプラント治療の流れ

カウンセリング

患者様のお悩み、ご要望を詳しくお伺いした上で、インプラントの治療内容についてご説明します。治療に関して何かご不明・ご不安な点がございましたら、お気軽にお尋ねください。

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基本診査

レントゲン撮影、口腔内模型(型採り)、ステントの作成などを行います。

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精密検査(CT撮影)

当院では殆どの場合、平面的なレントゲンだけでなくCTを撮影することによりインプラントを入れる骨の状態を立体的に(骨の高さ、幅、密度)把握し、治療計画を立てるようにしております。これにより、処置の時間の短縮、手術野の縮小(歯茎を剥ぐ範囲を少なくする)、が可能となり、より患者様にとって、負担が少なく(術後の歯肉の腫れ、痛みが少なくなる)、より安全な治療を行うことができるようになるでしょう。
当院では、ノーベルバイオケア社、ストローマン社と提携し、撮影したCTにおいて術者(私)がコンピューターでシュミレーションし、患者様の要望に応じ、ガイデッドサージェリー用のサージカルガイドを作成し、インプラントの埋入処置時に使用しています。

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診査結果の説明

インプラント手術の可否、術式などについてご説明します。また、最終的な治療計画や費用のお見積りなどをご提示します。

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手術前の治療

インプラント手術を行う前に、必要に応じて虫歯や歯周病などの治療を行います。

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インプラント手術

インプラント手術は局所麻酔で行います。手術器具などは完全に滅菌したものを使用し、可能な限り無菌的処置を行います。

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消毒、抜糸

手術後は通常、1~2回程度の消毒を行います。手術後、10日前後で抜糸を行います。

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上部構造の作成、装着

手術後1ヶ月半から4ヶ月間、インプラントと骨が結合するのを待ちます。その後、精密な型取りを行い、インプラントの土台の部分と人工歯を技巧所で作成し、装着させます。

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定期的なメンテナンス

インプラントを長期的にご使用頂くためには、毎日のブラッシングなどのケアと、当院での定期的なメンテナンスが不可欠です。治療後も快適にインプラントを使い続けるために、欠かさず定期的なメンテナンスを受けられるようにしてください。

安心かつ適切なインプラント治療を受けて頂くために ~ガイデッド・サージェリーを導入~

当院では、患者様に少しでも安心かつ適切なインプラント治療を受けて頂くために、「ガイデッド・サージェリー」を導入しております。「ガイデッド・サージェリー」とは、CTで撮影した3D画像などのデータを元に、専用のプランニング・ソフトを使って治療のシミュレーションを行う術式で、低侵襲かつ理想的な位置へのインプラント埋入が可能となります。

また、多数歯欠損の場合、これまで2~3回に分けて治療を行うのが一般的でしたが、「ガイデッド・サージェリー」を導入することで、治療期間を大幅に短縮することもできるようになりました。

メンテナンスしやすい環境を整え、「インプラント周囲炎」の予防をはかります

インプラント周囲炎とは、天然歯の歯周病と同じように、インプラントの根元に歯垢(プラーク)が溜まり、歯周病菌に感染することで、インプラントを支える骨が溶けてしまう病気です。支える骨がなくなったインプラントは、最悪の場合、抜け落ちてしまう場合もあります。

インプラント周囲炎を予防するためには、ご自宅でのブラッシングなどのケアと併せて、当院で定期的なメンテナンスを受けることが効果的です。ですので、インプラントを入れたからといって「治療は終わり」とお考えにならずに、その後も定期的に当院にお越しになり、メンテナンスを受けられるようにしてください。なお、当院ではインプラントを埋入する際には、ご自宅でのケアや歯科医院でのメンテナンスが行いやすいように、配置に注意しております。配置が悪いと、歯間ブラシが入らないなどケアが行いにくくなる場合があります。

また、骨量が少ない部分に無理矢理インプラントを埋入すると、インプラント周囲炎が発生しやすくなります。ですので、治療を行う前にはしっかりと骨の診査を行い、インプラント周囲炎の発生リスクを可能な限り抑えるように努めております。

骨再生治療について

インプラント埋入部分の骨量が少ない場合、必要に応じて「GBR」「ソケットリフト」「サイナスリフト」などの骨再生療法を行うことがあります。骨量を増やしてから埋入することで、インプラントの安定性を高めることが可能となります。もし、他院で「骨の量が少ないため、インプラント治療は受けられない」と言われたら、一度当院までご相談ください。患者様の状態を確認させて頂いた上で、骨再生療法を含めた適切な治療方法をご提案させて頂きます。

GBR

GBRとは、歯槽骨の幅が不足している時に用いられる方法です。幅を確保したい部分に、他の部分から採取した患者様ご自身の骨や骨補填材を入れ、それを生体吸収性の人工膜で覆い骨の再生を促します。

ソケットリフト

歯槽骨上から上顎洞底までドリリングを行い、その後、洞底骨をを粘膜ごと拳上し、その際スペースにドリリング時に採取した自家骨と骨補填材を混合して、填入し、徐々に洞底粘膜を持ち上げていきます。比較的低侵襲ですが、骨の造成量には限界があります。症例に応じ、後に示しますサイナスリフトとの術式の選択を行いながら、適応症を選んでいきます。

before

after

サイナスリフト(骨の高さが4mm未満の場合)

上顎洞前壁の骨を部分的に削除し、側方から上顎洞粘膜を挙上し自家骨と骨補填材を混ぜたものを歯槽骨と拳上した粘膜の間に充填し、骨造成を図ります。インプラントをサイナスリフトと同時に埋入する場合もあります(サイナスリフト+インプラント同時埋入)

サイナスリフト術前

 

サイナスリフト術後

 

インプラント埋入

当院が取り扱うインプラントの種類

即時荷重インプラント

インプラントを挿入した直後に固定式の人工歯を装着する治療法です。歯を1本失った方から全て失った方まで対応可能ですが、何より治療期間を短縮できます。

Before

After

ノーベルバイオケア

ノーベルバイオケアのインプラントには、長期間お口の中で高い機能性を発揮することができるという特徴があります。1本から複数歯まで幅広い症例に対応可能なため、世界的に普及しているインプラントのトップブランドです。

ストローマン

ストローマンのインプラントは、世界中で使用されているトップクラスの製品です。「専門トレーニングを受けた歯科医師のみが取り扱える」「インプラント体の形状・サイズが日本人の顎に適している」などの特徴があり、信頼性が高く安全性に優れたインプラントです。

インプラントQ&A

手術中は痛みはないですか?

局所麻酔を十分効かせて手術を行いますので、手術中は殆ど痛みを感じることはありません。また、静脈内沈静法や鎮静剤を服用していただき、意識がぼんやりしている状態で手術を行う方法もあります。

手術の時間は?

通常の1~2本のインプラントを埋め込む手術であれば、30分~1時間程度で手術を終えることができます。骨造成術を併用する場合や3~6本の場合は2時間程度の手術になります。

治療の期間は?

治療の期間はインプラントを埋め込む骨の状態によって多少異なってきますが、手術から歯(上部構造)の装着まで、下あごの場合で約2~3ヶ月、上顎の場合で約3~4ヶ月の期間を要します。最近では手術から 歯が入る期間が短くなる傾向にあります。また、インプラントを埋めてすぐに咬める状態にする即時加重という方法もあり、そのような方法が世界的な流れになってきております。

アレルギーの心配はないですか?

インプラントの素材はチタンという金属です。この金属は体の組織との相性(生体親和性)が良く、比較的アレルギーが起こりにくい部類の金属ではありますが、稀にアレルギーが起こる場合もあります。心配な場合は金属アレルギーの検査(パッチテスト等)を手術前に行い、チタンにアレルギーがないか確かめておくことをお勧めします。

インプラントをいれた後のトラブルは?

ご自身の歯(天然歯)と同様に歯周病になることがあります。また、かみ合わせや歯ぎしりの問題で、インプラントに負荷がかかりすぎ、インプラント周囲の骨がダメージを受ける場合があります。その結果、インプラントとインプラント周囲の骨の結合(骨結合)が破壊され、インプラントが脱落する場合があります。それらを防ぐには、定期的な検診を受けて頂き、クリーニングやかみ合わせのチェックをすることが大切です。

インプラントを埋める骨の量が少ない場合の対応は?

歯周病などで歯を失った場合、歯根の周囲の骨が無くなっています。また、顎の骨を解剖学的に見た場合、元々骨の量が少ない場合があります。よく骨が痩せていて、インプラントをいれることが出来ないといった診断を受けられた方がいらっしゃると思いますが、現在では様々な方法を用いて、患者様に比較的ダメージが少ないようにそのような部分にインプラントを埋入することが可能です。この場合の対応はいくつかの種類があります。

インプラントの費用は?

インプラント治療は保険外診療(自費診療)になります。手術の費用+歯(上部構造)の費用でインプラント1本あたり約35万円が平均的な費用になります。また、骨造成術など追加の処置を行う場合は別途の費用が必要になります。

インプラントの成功率は?

約95%以上の成功率が一般的です。私個人のインプラント成功率は、約70症例、300本を行っており、約97%です。それだけ近年のインプラント治療は様々な研究が進み、システム化されており、成功率は非常に高いのです。

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